犬と猫の認知機能不全症候群(認知症)は、人間と同じように加齢とともに発生率が高くなり、生涯にわたって治療や介護が必要になります。残念ながら根本的な治療法はありませんが、薬やサプリメントなどで進行を遅らせることができたり、環境を整備することで愛犬愛猫の生活の質をよくすることはできます。
この記事では、犬と猫の認知症について症状や治療方法、家庭でできるケアなどを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.家庭でできるケア
6.まとめ
原因
犬と猫の認知症、または一般的に「認知機能不全症候群」と呼ばれる状態は、加齢に伴い見られることが多い神経変性疾患です。この認知症は、人間のアルツハイマー病に類似していると考えられていますが、詳しい原因は分かっていません。
しかし、11歳を超えた犬での発症が多く、国内では日本系雑種や柴犬に多いといわれていますが、最近では柴犬以外の発症も見られます。また、15歳以上になると半数程度の猫に何らかの認知症の症状がみられると言われています。
症状
犬と猫の認知症によって引き起こされる症状は多岐にわたりますが、代表的な症状として以下が挙げられます。
・家の中で迷ったり、戸惑ったりする
・物にぶつかりやすくなる
・以前は楽しんでいた活動への関心が低下する
・昼夜逆転する(夜間に活動的で昼間に多く眠る)
・トイレ以外の場所での排泄
・無駄吠えや夜鳴きが増える
・飼い主様の呼びかけや遊びなどに対して関心や反応を示さない
診断方法
まずは、飼い主様から愛犬の症状が始まった時期や日常生活での様子を聞きとります。
また、身体的な病気や脳の腫瘍が異常行動の原因になっているケースもあるため、 血液検査や尿検査、画像診断などを組み合わせながら、慎重に診断を進めます。
治療方法
残念ながら、犬や猫の認知症には根本的な治療法はありませんが、病気の進行を遅らせることは可能です。
抗酸化物質であるビタミン群やDHA、EPAなどのオメガ3脂肪酸が含まれたサプリメントや療法食が効果的であると考えられています。
また、認知症の症状に効果がある抗うつ薬や精神安定薬、夜間の不眠や夜鳴きに対して睡眠薬などを処方する場合もあります。
家庭でできるケア
・生活環境を整える
円形サークルで行動範囲を制限したり、家具にぶつかり怪我をしないようにコーナーガードで保護したりして生活しやすいようにしてあげる工夫が大切です。
また、粗相に備えてトイレを近くに置いたり、犬用のおむつを利用したりしましょう。
・生活リズムを見直す
昼夜逆転をしている場合には、夜に起きるため夜鳴きが増えます。このような場合、昼間に散歩にでかけたり日光浴をさせたり、昼寝をさせないよう日中にたくさん活動させたりすることで、夜によく眠れるようにし、昼夜の逆転や夜鳴きを防ぐことも重要です。
まとめ
飼い主様が日頃から愛犬や愛猫の様子をよく観察し、少しでも早く発見・早期治療に努めることが大切です。また、愛犬愛猫が認知症になると、飼い主様にとっても重大な負荷がかかります。飼い主様が疲れてしまわないよう、時には動物病院やペットシッターを利用し、一人で全てを解決しようとせずに周囲の助けを求めましょう。
認知症でお困りのことや不安なことがあれば、ぜひお気軽に当院までご相談ください。
栃木県佐野市にある犬、猫専門動物病院
させ犬猫の病院