猫エイズや白血病ウイルスは、主に外で生活する猫が感染しやすい病気です。感染してもすぐに症状が現れるわけではありませんが、発症すると高い確率で命を落としてしまうため、予防や早期発見・早期治療を行うことが大切です。
この記事では、猫エイズと白血病ウイルスについて、詳しくご紹介していきます。大切な愛猫の健康を守るための知識をお届けしますので、ぜひ参考にしてみてください。
■目次
1.猫エイズ(FIV)と白血病ウイルス(FeLV)とは?
2.症状と診断
3.猫エイズと白血病ウイルスの影響
4.治療と管理
5.予防法
6.早期発見の重要性
7.感染した猫との暮らし方
8.まとめ
猫エイズ(FIV)と白血病ウイルス(FeLV)とは?
猫エイズと白血病は、どちらもウイルスによる感染症ですが、以下のような異なる特徴があります。
<猫エイズ>
猫エイズウイルス(FIV)が原因で発生します。主な感染経路は、猫同士がけんかをした際の咬傷です。
ただし、ウイルスに感染したからといってすぐに症状が出るわけではありません。多くの場合、長期間にわたって無症状の状態が続き、中には発症せずに生涯を過ごす猫もいます。
しかし、一度発症してしまうと、高い確率で命を落としてしまいます。
<猫白血病>
猫白血病ウイルス(FeLV)が原因で発生します。主な感染経路は、感染した猫の唾液や鼻水などを介して広がり、けんかやグルーミング、食器の共有などによって感染します。
成猫の場合、ウイルスを体内から排除して発症せずに済むことが多いですが、免疫力が低い子猫ではウイルスが体内に留まり「持続感染」となりやすく、高い確率で発症し、命を落としてしまうことがあります。
症状と診断
猫エイズと白血病は、少量の血液を採取し、専用の検査キットを使うことで同時に診断することができます。
それぞれの病気には、特有の症状や進行の仕方があります。
<猫エイズ>
猫エイズは以下の5段階で症状が進行します。
1. 急性期:軽い風邪のような症状が見られます。
2. 無症状キャリア期:症状がなく、数年から10年以上も無症状のまま過ごすことがあります。
3. 持続性全身性リンパ節症期:全身のリンパ節が腫れてきます。
4. AIDS関連症候群期:免疫機能が低下し、口内炎や皮膚病などの慢性的な病気が現れやすくなります。
5. AIDS期:体重の減少、食欲不振、貧血、日和見感染(普段は害のない病原体による感染症)などが見られ、最終的には命を落とすことになります。
<猫白血病>
猫白血病には特に目立つ初期症状はありませんが、元気がなくなったり、食欲が低下したり、発熱、貧血、リンパ節の腫れなどが数週間から数ヶ月続くことがあります。
その後、回復することもありますが、ウイルスが体内に残り「持続感染」となることがあります。この状態では、貧血やリンパ腫、免疫不全などが進行し、命を落とすことが多いです。
猫エイズと白血病ウイルスの影響
猫エイズも白血病も、発症すると免疫力が大きく低下します。
その結果、二次感染が起こりやすくなり、悪性腫瘍ができるリスクが高まります。どちらも命に関わる深刻な病気ですので、発症させないことが何より大切です。
治療と管理
猫エイズや白血病には、残念ながら特効薬はありません。そのため、免疫力をサポートするインターフェロン治療や、症状に合わせた対症療法が基本となります。
また、猫エイズではいかに発症させないよう管理するかが重要となるため、できるだけストレスがかからない生活環境を整えることが重要です。
予防法
どちらも感染猫との接触を避けることが大切ですので、完全室内飼育を徹底しましょう。
また、猫白血病はワクチン接種による予防が可能です。愛猫を病気から守るため、定期的なワクチン接種を忘れずに行いましょう。
早期発見の重要性
ウイルスに感染しても、すぐには検査結果に反映されないことがあり、タイミングによっては複数回の検査が必要になることもあります。獣医師の指示に従って、しっかりと検査を受けることが大切です。
特に猫エイズは、無症状の期間が長いため、早期に発見することで発症を遅らせることが可能です。新しく猫を家に迎えたら、まずはウイルス検査を受けるようにしましょう。
感染した猫との暮らし方
猫エイズも白血病も猫同士で感染する病気ですが、人間にうつることはありませんので、健康な猫と同じように接して問題ありません。栄養バランスの良い食事を心がけ、できるだけストレスをかけないようにしてあげましょう。
ただし、多頭飼いの場合は、他の猫への感染を防ぐため、接触を避ける必要があります。それぞれの猫を別々の部屋で飼い、特に猫白血病ウイルスを持っている猫には、食器やトイレを他の猫と共有しないように気をつけてください。
まとめ
猫エイズや白血病は、外で生活する猫から感染することが多いため、完全室内飼育を心がけましょう。
また、保護猫を迎え入れたときや、猫が脱走してしまったときは、ウイルス検査を受けて感染の有無を確認することをおすすめします。
感染しても、必ずしも発症するわけではありませんので、万が一検査で陽性だった場合でも、かかりつけの獣医師としっかり連携して、管理を続けていくことが大切です。
栃木県佐野市にある犬、猫専門動物病院
させ犬猫の病院