愛犬や愛猫が頻繁に吐いていると「何かの病気なのではないか」と心配になりますよね。犬や猫が吐くこと自体は珍しいことではなく、単発で他に症状がなければ生理的な嘔吐である場合もあります。
しかし、頻繁に吐いている場合は、健康上の問題が隠れている可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。
今回は、犬や猫の嘔吐について詳しく解説していきます。
■目次
1.犬や猫が吐く理由
2.「よく吐く」の目安
3.犬や猫が吐く主な原因
4.嘔吐の種類と見分け方
5.すぐに動物病院に行くべき症状
6.動物病院での診断・治療
7.嘔吐の予防と日頃のケア
8.よくある質問(FAQ)
9.まとめ
犬や猫が吐く理由
犬や猫は、毛を飲み込んでしまうことや食べ過ぎなどの生理的な理由で吐くことがあります。このような場合は基本的に一時的なもので、他の症状を伴わないことがほとんどです。
しかし、頻繁に吐く、元気がない、下痢、食欲の低下などの症状が見られる場合には、消化器系の問題や全身性の病気など、病的な理由が考えられます。
そのため、症状の頻度や内容によっては、獣医師に相談することが大切です。
「よく吐く」の目安
犬や猫が吐く頻度が高いと、病気の可能性が心配になりますが、具体的にどのくらいの頻度が「よく吐く」と言えるのでしょうか。
明確な定義はありませんが、「1日に3回以上吐く」「毎日のように吐く」「週に3回以上吐く」などが目安になります。こういった場合は、ただの一時的なものではなく、体調不良のサインかもしれませんので、早めに獣医師に相談することが大切です。
犬や猫が吐く主な原因
主な原因には、以下のようなものが挙げられます。
<消化器系の問題>
・胃腸炎
嘔吐のほかに、下痢や食欲不振を伴うことが多く、傷んだものを食べた場合や、感染症にかかることで発生します。
・異物誤飲
特に子犬や子猫に多く見られます。おもちゃや靴下、タオルなどの布製品、人用の薬、ペットシーツなど、さまざまなものが原因になります。
誤飲したものや量によって症状は異なりますが、嘔吐のほかに、下痢やよだれ、元気や食欲の低下、呼吸の異常などが見られることがあります。
・食物アレルギー
人と同じように、特定の食べ物に対してアレルギー反応を示すことがあります。肉類や穀物、魚、乳製品、卵などが原因になることが多く、嘔吐のほかに、皮膚にかゆみが出ることもあります。
<全身性の疾患>
・腎臓病
腎臓病は、おしっこの病気や感染症、中毒などが原因で起こります。腎臓の機能が低下すると、嘔吐のほかに下痢や食欲不振、多飲多尿といった症状が見られます。重症の場合には、けいれんや貧血などの症状が現れることもあります。
・肝臓病
肝臓病には、肝炎や肝臓腫瘍、猫では脂肪肝などが含まれます。肝臓の機能が低下すると、嘔吐、多飲多尿、元気や食欲の低下、体重減少、黄疸などの症状が見られることがあります。
・膵臓病
膵臓に炎症が起こると、嘔吐に加えて下痢や食欲不振、腹痛などが見られます。膵臓の炎症が長引くと、糖尿病や膵外分泌不全といった合併症を引き起こすこともあります。
<その他の要因>
・ストレス
騒音や環境の変化、長時間の留守番などでストレスを感じることが多く、その結果、嘔吐や下痢、食欲不振といった症状が見られることがあります。また、ストレスから問題行動を起こすこともあります。
・乗り物酔い
実は犬や猫も乗り物酔いをすることがあります。人と同じように、嘔吐したり、よだれや震えが見られたりすることがあります。
・薬の副作用
まれに薬の副作用で嘔吐することがあります。
嘔吐の種類と見分け方
嘔吐と間違えやすいものに「吐き戻し(逆流)」があります。吐き戻しは、食べ物が胃に到達する前に吐き出されるもので、主に食後すぐに起こります。
一方、嘔吐は胃に入った食べ物や飲み物が吐き出されることを指します。
吐き戻しと嘔吐では、その原因が大きく異なるため、見分けることが診断や治療の上でとても重要です。
すぐに動物病院に行くべき症状
以下のような症状が見られる場合は緊急性が高いため、直ちに動物病院を受診しましょう。
・嘔吐物に血液や異物が含まれている
・1日に何度も嘔吐する
・嘔吐に加えて下痢や食欲不振がある
・元気がない、ぐったりしている
・嘔吐以外にも発熱や腹痛などの異常な症状が見られる
動物病院での診断・治療
動物病院では、まず問診と身体検査を行い、その後、必要に応じて血液検査やレントゲン検査、超音波検査を実施します。
当院では日立の16列マルチスライスCT「Supria Advance」を導入しており、より詳しい検査が必要な場合にはCT検査を行うこともあります。
CT検査は、レントゲン検査や超音波検査では確認しづらい部分の病変の撮影や、全身の臓器の状態を把握できるため、原因が不明な場合や手術が必要かどうかの判断が難しいケースで特に役立ちます。
これらの検査結果をもとに総合的に診断し、原因に合わせた治療や対症療法を行います。
このように、「嘔吐」といってもさまざまな検査や治療法が必要になることがあるため、獣医師による正確な診断と適切な治療が大切です。
嘔吐の予防と日頃のケア
日頃のケアをしっかり行うことで、嘔吐の予防につながります。
・適切な食事管理
1日の食事量をしっかりと計測して、1日に2〜3回に分けて与えるようにしましょう。また、フードをしっかり管理しないと、どうしても質が落ちてしまいます。そのため、フードの品質を保つため、開封後はジッパーバッグなどに小分けして保存すると、酸化を防ぎ、鮮度を保つことができるのでおすすめです。
ウェットフードの場合は、食べきれない分をラップで包み冷蔵庫で保存し、できるだけ1日で食べきるようにしましょう。
・定期的な健康チェックと予防医療
普段から元気や食欲、飲水量、体重の変化に注意し、小さな異常も早めに気づけるようにしましょう。また、定期的な健康診断やワクチン接種、予防薬の投与も欠かさず行うことが大切です。
・ストレス軽減と適度な運動
飼い主様とのスキンシップや適度な運動、安心できる環境作りを心がけ、愛犬や愛猫がストレスを感じにくいように工夫しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q.食べ過ぎによる嘔吐と病気による嘔吐の見分け方は?
A.食べ過ぎた場合は嘔吐ではなく「吐き戻し」に近い状態で、食後すぐに未消化のフードを吐き出します。また、1回吐いたらすっきりして、その後はケロッとしていることがほとんどです。
Q.嘔吐を繰り返す場合、どのような検査が必要になりますか?
A.一般的には血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを行いますが、当院ではより詳しく調べるために、CT検査を行うこともあります。
まとめ
犬や猫が吐く原因はさまざまです。もし愛犬や愛猫が吐いたら、吐いた時間や内容、体調の変化などをしっかり観察しましょう。嘔吐が続き、ぐったりしている場合は、早めに動物病院で診察を受けましょう。
栃木県佐野市にある犬、猫専門動物病院
させ犬猫の病院