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犬の脊椎腫瘍とは?|CT検査での早期発見と治療の進め方

「最近、愛犬の歩き方が変わった気がする」「後ろ足がふらついている」「どこか痛がっているように見える」といったことに心配を感じたことはありませんか?

特に、高齢犬や特定の犬種では、こうした異変が深刻な病気のサインである可能性があります。その中でも、脊椎腫瘍は注意が必要な疾患の一つです。

脊椎腫瘍とは、脊髄やその周囲に腫瘍ができる病気で、神経系に影響を及ぼし、痛みや運動障害を引き起こします。

この病気を早い段階で見つけて治療を始めることは、愛犬がこれからも元気で快適に暮らしていくためにとても大切です。特に最近では、CT(コンピューター断層撮影) を活用することで、腫瘍を初期の段階で発見し、より正確な診断が可能になっています。

今回は、脊椎腫瘍に関する基礎知識、早期発見のためのポイント、そして治療方法について解説します。

■目次
1.脊椎腫瘍の種類と特徴
2.早期発見のために知っておきたい症状
3.なぜCT検査が重要なのか
4.診断方法
5.治療方法
6.治療後の経過と予後
7.日常生活でのケアポイント
8.まとめ

 

脊椎腫瘍の種類と特徴


犬の脊椎腫瘍には、大きく分けて「原発性腫瘍」と「転移性腫瘍」の2種類があります。

<原発性腫瘍>

原発性腫瘍は、脊椎や脊髄そのものから発生する腫瘍を指します。このタイプには、骨そのものに発生する骨腫瘍(骨肉腫など)や、神経に関連する腫瘍である神経腫瘍(髄膜腫や神経鞘腫)などがあります。

これらの腫瘍は、脊椎や周囲の組織に影響を及ぼしながら、徐々に症状が進行していくことが特徴です。

<転移性腫瘍>

転移性腫瘍は、他の臓器(肺、乳腺、肝臓など)にできた腫瘍が脊椎に転移して発症するケースです。
この場合、脊椎の症状だけに注目するのではなく、全身の健康状態を確認することが重要です。

脊椎腫瘍は、椎間板ヘルニアや変形性脊椎症など、他の脊椎の病気と症状が似ていることがあります。そのため、最初は区別が難しい場合も少なくありません。

椎間板ヘルニアについてはこちらから

しかし、腫瘍の場合にはいくつかの特徴があり、症状が進むスピードが比較的早いことや、特定の部位に強い痛みが集中することが挙げられます。

こうした特徴は、CTやMRIといった画像診断を行うことで、よりはっきりと確認できます。

 

早期発見のために知っておきたい症状


脊椎腫瘍の初期症状は、普段の生活の中では気づきにくい場合があります。しかし、愛犬の健康を守るためには、日々の観察がとても大切です。

次のようなポイントを参考に、愛犬の様子を注意深く見てみましょう。

<初期症状>

・歩き方がぎこちない
・後ろ足がふらつく
・動くのを嫌がる
・触られることに敏感になる

<進行症状>

・部分的なしびれが原因で足を引きずるように歩く
・激しい痛みがあり、触られることを強く嫌がる
・後ろ足に力が入らず、麻痺して体重を支えられなくなる
・排尿や排便のコントロールが難しくなる

<緊急性の高い症状>

・立てなくなる、または突然倒れてしまう
・呼吸が浅くなり、苦しそうにしている
・強い痛みのために鳴き続ける

こうした症状が見られた場合は、すぐに動物病院に相談してください。

 

なぜCT検査が重要なのか


脊椎腫瘍を正確に診断し、早期に治療を進めるためには、CT検査がとても重要です。レントゲン検査とCT検査にはそれぞれ特徴がありますが、CT検査は特に詳細な画像情報を得られるため、早期発見や的確な診断に大きく役立ちます。

<レントゲン検査>

レントゲン検査は簡単に行える検査方法で、その場で短時間のうちに撮影結果を確認することができます。ただし、腫瘍が小さい場合や、骨の内部構造、周囲の組織の詳しい状態を調べるには限界があるため、さらに詳細な検査が必要になることがあります。

<CT検査>

CT検査は、コンピュータ断層撮影技術を使用して、骨や組織の三次元的な詳細画像を取得する検査です。全身麻酔が必要になることが多いものの、腫瘍の位置や大きさ、周囲の影響を正確に把握できるため、診断の精度を高める非常に重要な検査方法です。

具体的には、以下のような情報を詳しく調べることができます。

腫瘍の大きさと正確な位置
腫瘍がどの部位に発生しているのか、その広がりがどの程度かを正確に確認できます。

周囲の神経や血管への影響
脊椎腫瘍が脊髄を圧迫している場合、その程度や神経への影響がわかるため、治療の方向性を決める上で重要です。

骨の内部構造の変化
腫瘍が骨を破壊しているか、その進行具合まで評価することが可能です。

CT検査は、症状がまだ軽い段階でも腫瘍の兆候を発見できるため、早期治療につなげることができます。特に脊椎腫瘍のように進行しやすい病気では、CT検査による早期発見がその後の治療や回復に大きな影響を与えます。

また、CT検査で得られる正確な診断をもとに最適な治療方針を立てることで、愛犬の体に負担をかけず、適切に治療を進めることが可能です。

当院のCT検査についてはこちらから

 

診断方法


動物病院で最初に行われるのは問診と身体検査です。飼い主様からいただく情報、たとえば「症状がいつ頃から始まったのか」「これまでの経過」などは、診断の大切な手がかりとなります。

次に、以下の検査が行われます。

まず、レントゲン検査で腫瘍の可能性を確認します。この検査は初期段階の確認に適しており、短時間で結果を得ることができます。
その後、神経学的検査を通じて神経の働きを詳しく調べ、腫瘍がどの神経に影響を与えているのかを推測します。

さらに、より詳細な診断のためにCT検査が実施されます。CT検査は動物が動かない状態で正確な画像を撮影する必要があるため、通常は全身麻酔を行います。

撮影そのものは数分で完了しますが、麻酔の準備や回復を含めると、全体で2~3時間程度かかることが一般的です。

CT検査で得られた画像情報をもとに、腫瘍の性質(原発性か転移性か)、進行具合、さらに神経や骨への影響を詳しく評価し、治療方針を決定します。

 

治療方法


脊椎腫瘍の治療方法は、腫瘍の種類や進行度、そして愛犬の全身状態によって異なります。
治療法を選ぶ際には、次のようなポイントが考慮されます。

・腫瘍の種類と進行度
・犬の全身状態や年齢
・飼い主様の希望や生活スタイル
・治療にかけられる予算

ここからは、代表的な治療法について詳しくご説明します。

<手術>

腫瘍が取り除ける位置にあり、全身への転移が見られない場合、手術は最善の治療法となることがあります。特に、腫瘍が骨や神経を圧迫している場合、手術によってその圧迫を解除することで症状が大幅に改善することが期待されます。

手術では患部の腫瘍を切除し、必要に応じて金属プレートやピンを用いて骨を固定します。これにより痛みや神経症状を和らげ、愛犬の生活の質(QOL)の向上を目指します。

<放射線治療>

腫瘍が手術で完全に取り除けない場合や、神経や血管に近い位置にある場合には、放射線治療が用いられることがあります。放射線治療は、腫瘍の増殖を抑える効果が期待できる治療法です。

<抗がん剤治療>

リンパ腫など、特定の腫瘍に対しては抗がん剤治療が有効です。この治療法は、単独で行う場合もあれば、手術や放射線治療と組み合わせて行われることもあります。

 

治療後の経過と予後


脊椎腫瘍の治療後、愛犬が回復するまでには治療方法や腫瘍の進行度によって期間が異なります。軽度の腫瘍を早期に治療した場合は、数週間ほどで日常生活に戻れることが多いです。

一方、進行した腫瘍や複雑な手術を受けた場合は、回復までに長い時間がかかり、継続的なリハビリが必要となることもあります。

手術後は安静が欠かせませんが、状態が安定したら徐々に運動を再開し、筋力や関節の動きを取り戻していきます。リハビリには以下の方法が推奨されます。

軽い運動:短い散歩などで筋力を少しずつ回復させます。
水中療法:体に負担をかけずに運動機能を向上させます。
ストレッチとマッサージ:硬くなった筋肉をほぐし、血行を良くします。

獣医師や動物リハビリの専門家と相談し、愛犬に合ったリハビリプランを作成することが大切です。

そして、腫瘍の再発や新たな問題を早期に発見するため、定期的な診察が欠かせません。推奨される検査は以下の通りです。

画像診断:CT検査やレントゲンで再発の有無や進行状況を確認します。
神経学的検査:神経の働きに異常がないか評価します。
血液検査:全身状態を把握するための基本的な検査です。

 

日常生活でのケアポイント


症状の進行を抑えるためには、日常的なケアが欠かせません。次のポイントを参考に、愛犬にとって安心できる環境を整えましょう。

体重管理適切な体重を維持することで、脊椎への負担を軽減します。

適度な運動:無理のない範囲で運動を取り入れ、筋力や関節の動きを保ちましょう。

栄養バランス抗酸化作用のある栄養素を含むフードやサプリメントが推奨される場合もあります。

・環境整備滑りにくいマットやラグを敷いて転倒を防止し、階段の使用を控えるか、スロープを設置して愛犬の負担を軽減します。

・定期的な観察:愛犬の歩き方や姿勢、痛みの兆候(鳴き声や行動の変化)に注意し、異常があればすぐに獣医師に相談してください。

さらに、日常的なケアに加え、半年から1年に1回の健康診断を受けることが再発防止に役立ちます。定期診察で腫瘍の再発や他の問題を早期に発見し、必要に応じてケアプランを調整することが大切です。

 

まとめ


犬の脊椎腫瘍は、早期発見と正確な診断が重要な病気です。CT検査を活用することで、詳細な診断が可能となり、最適な治療法を選ぶことができます。手術や放射線治療に加え、術後のリハビリや定期的な経過観察は、愛犬の回復にとても重要です。

また、日常生活では環境の整備や体重管理、適度な運動を心がけ、症状の進行を抑える工夫が大切です。小さな異変にも早めに気づき、動物病院で適切なケアを受けることで、愛犬の健康を守ることができます。

館林市や佐野市で脊椎腫瘍の診断や治療についてお悩みの方は、当院にぜひご相談ください。CT検査を活用し、愛犬に最適な治療をご提案いたします。

 

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