近年、犬の高齢化や長寿化が進む中で、高齢期ならではの病気が増えてきました。その一つが認知症で、生涯にわたって介護が必要となるため、予防方法を知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、犬と猫の認知症についての基本情報と予防方法について詳しくお伝えします。
■目次
1.犬の認知症とは?
2.犬の認知症リスク:13歳が重要な転機
3.犬の認知症の早期発見:飼い主が気づくべきサイン
4.犬の認知症予防
5.犬の認知症の診断方法
6.犬の認知症の治療法:症状の進行を遅らせるアプローチ
7.まとめ
犬の認知症とは?
犬の認知症、または一般的に「認知機能不全症候群」と呼ばれる状態は、加齢に伴い見られることが多い神経変性疾患です。この認知症は、人間のアルツハイマー病に類似していると考えられていますが、詳しい原因は分かっていません。
犬の認知症リスク:13歳が重要な転機
10歳頃から発症しますが、特に13歳くらいになると発生率がぐっと上がります。
国内では日本系雑種や柴犬に多いといわれていますが、最近では柴犬以外の発症も見られます。
犬の認知症の早期発見:飼い主が気づくべきサイン
以下のような病気のサインを見逃さないよう、愛犬の行動を日頃からよく観察するようにしましょう。
・行動の変化
普段とは異なる行動をとるようになります。例えば、すみっこでぐるぐる回る、同じ場所を何度も歩き回るなどの行動が見られます。
・昼夜逆転
夜中に突然吠える、眠れなくなるなど、睡眠パターンが乱れることがあります。
・トイレの失敗
トイレの場所を忘れ、家の中で粗相をすることがあります。
・家族との関わり方の変化
飼い主様や家族への反応が鈍くなり、以前は好きだった人や物に対して興味を失うことがあります。
犬の認知症予防
お散歩コースを度々変えたり、知育玩具で遊んだりして、日頃から脳に適度な刺激を与えましょう。また、認知機能をサポートしてくれるようなフードやサプリメント(ガードワンなど)を取り入れるのも効果的です。
すでに認知症が始まっている場合は、危険な物を取り除き、隅にはまって抜け出せなくなる場合は円形のサークル内で過ごさせると良いでしょう。昼夜逆転が見られる場合は、日中にお散歩をして脳に刺激を与え、生活リズムを整えることが大切です。
犬の認知症の診断方法
問診や診察室での行動を観察して得た情報を専用のチェックリストに当てはめ、犬種や年齢も加味しながら評価をします。
また、全く別の病気が似たような症状を引き起こしているケースもあるため、血液検査や画像診断などの検査も行います。
犬の認知症の治療法:症状の進行を遅らせるアプローチ
残念ながら、犬や猫の認知症には根本的な治療法はありませんが、病気の進行を遅らせることは可能です。
抗酸化物質であるビタミン群やDHA、EPAなどのオメガ3脂肪酸が含まれたサプリメントや療法食が効果的であると考えられています。
また、認知症の症状に効果がある抗うつ薬や精神安定薬、夜間の不眠や夜鳴きに対して睡眠薬などを処方する場合もあります。
まとめ
認知症は一度発症すると生涯にわたって介護が必要になります。しかし、介護疲れしてしまう飼い主様は決して少なくないため、獣医師としっかり連携することが大切です。症状に応じた治療を行いながら、愛犬にとっても飼い主様にとってもなるべくストレスや不安がかからないような生活を目指していきましょう。
栃木県佐野市にある犬、猫専門動物病院
させ犬猫の病院