血栓症は心筋症を患っている猫に多くみられますが、犬での発生は稀です。血栓が詰まると突然強い痛みを訴え、命を落としてしまうケースも少なくないため、早期発見・早期治療を行うことが大切です。
この記事では、犬と猫の血栓症について詳しくご紹介しますので、大切な犬と猫の健康を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
■目次
1.血栓症とは?
2.猫の血栓症
3.犬の血栓症
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法
7.まとめ
血栓症とは?
血栓症とは、血栓(=血の塊)が血管を塞いでしまい、血流が途絶えてしまうことでさまざまな症状を引き起こすことを指します。また、猫は犬と比べて血が固まりやすいため、犬よりも猫に多くみられます。
猫の血栓症
猫の血栓症の多くは心筋症に伴って起こります。心臓は血液を循環させるポンプのような働きをしているため、心筋症になると血液の流れに異常が生じ、血栓が作られてしまいます。特に後ろ足にある動脈に血栓が詰まることが多く、後ろ足に強い痛みや麻痺が生じたり、足先が冷たくなって肉球に血の気がなくなったりします。
また、血栓症を引き起こすと予後が悪く、死に至るケースも少なくありません。
犬の血栓症
犬の血栓症はそれほど発生が多くありませんが、感染による炎症(細菌性心内膜炎など)や外傷、フィラリア症、先天性の心奇形、低アルブミン血症、不整脈、クッシング症候群などが原因で起こります。症状は血栓が詰まった部位によって異なりますが、一般的に強い痛みや体の機能障害などが起こり、重度の場合は命を落としてしまうこともあります。
また、どの犬にも発症リスクはありますが、柴犬やクッシング症候群に罹患している犬に多く発生するという報告もあります。
フィラリア症についてはこちらから
犬のクッシング症候群についてはこちらから
診断方法
血栓症の診断では、触診や血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行います。また、必要に応じてCT検査や血管造影検査などを実施することもあります。
治療方法
血栓症は強い痛みを伴うため、まずは痛み止めを投与し、全身状態が悪い場合には酸素の投与や点滴治療などを行います。また、再発を防ぐために抗凝固剤も投与します。
血栓が詰まってから短時間しかたっていなければ血栓を溶かす薬を投与したり手術で血栓を取り除いたりすることもあります。ただし、これらの治療法にはさまざまなリスクを伴うため、慎重に判断する必要があります。
予防法
血栓症そのものは予防が難しいため、血栓症を引き起こす病気の早期発見・早期治療を行うことが大切です。そのため、動物病院で定期的な健康診断を受けるようにしましょう。
また、肥満は万病の元であるため、適切な食事と運動を心がけ、愛犬・愛猫の健康を守りましょう。
まとめ
血栓症は犬では稀にみられますが、猫の場合は血栓症を発症すると予後が悪く、治療がうまくいっても命を落としてしまうケースが少なくありません。しかし、この病気は予防が難しいため、健康診断を毎年(高齢の犬や猫では半年に1回)受けるようにして、早期発見・早期治療に努めましょう。
<参考>
https://camic.jp/column/29_202311/
栃木県佐野市にある犬、猫専門動物病院
させ犬猫の病院