愛犬愛猫のかゆみ、赤み、脱毛などの皮膚疾患は、様々な原因で起こり、放っておくと悪化したり、他の病気を引き起こしたりする可能性があります。 また、夏場は細菌が増殖しやすいため、犬や猫の皮膚病が多く発生します。
この記事では、犬と猫の皮膚疾患の種類や原因、症状、リスク、診断方法、治療法、予防法などを詳しく解説します。
■目次
1.犬と猫の皮膚疾患の種類
2.犬と猫が皮膚の病気かかってしまったときの原因と症状
3.犬と猫が皮膚の疾患にかかってしまったときのリスクは?
4.診断方法
5.治療方法
6.皮膚疾患にかからないための予防法やご家庭で気を付けること
7.まとめ
犬と猫の皮膚疾患の種類
主な皮膚疾患 | |
犬 | ・感染症 ・アレルギー性皮膚炎 ・内分泌疾患 ・免疫介在性疾患 ・先天性疾患 ・腫瘍 ・精神的要因 |
猫 | ・感染症 ・アレルギー性皮膚炎 ・先天性疾患 ・腫瘍 ・精神的あるいは身体的要因による皮膚疾患 |
犬と猫が皮膚の病気かかってしまったときの原因と症状
皮膚疾患によって引き起こされる症状は多岐にわたります。以下に主な皮膚疾患の原因と症状を詳しく説明します。
〈感染症〉
細菌、真菌、または寄生虫が原因で、これらは環境や他の動物との接触を通じて発生します。
・細菌感染症:赤み、腫れ、膿、創傷の悪化
・真菌感染症(白癬):円形の脱毛
・寄生虫感染症(疥癬):激しいかゆみ、赤い発疹、皮膚の硬化
〈アレルギー疾患〉
動物が特定の物質に過敏に反応することが原因です。
・アトピー性皮膚炎:耳の後ろや肢の内側など特定の部位の慢性的なかゆみ
・食物アレルギー:顔や足を中心にかゆみ、消化不良や下痢を伴うことも
・ノミアレルギー性皮膚炎:激しいかゆみ、皮膚の赤み、脱毛
〈内分泌疾患〉
ホルモンの不均衡が皮膚の異常を起こします。
・甲状腺ホルモン異常:脱毛、乾燥肌、体重の変化
・副腎皮質ホルモン異常:皮膚の薄化、脱毛、増加した飲水量や尿量
〈免疫介在性疾患〉
自己免疫の問題により発生します。
・免疫介在性血小板減少症:点状または斑状の出血が体のあちこちで起こる
・天疱瘡:鼻や耳介などにかさぶたやフケ、脱毛がみられる
〈先天性疾患〉
遺伝的要因による皮膚の異常で、遺伝的要因による皮膚の異常で発生します。
・脂漏症:シーズーやアメリカン・コッカ―スパニエル、ウエストハイランド・ホワイト・テリアなどの特定の犬種に、皮膚のべたつき、フケがみられる
〈腫瘍〉
細胞の制御失調によるもので、良性または悪性の腫瘍が皮膚に現れることがあります。
・扁平上皮癌:脱毛、ただれ、潰瘍
・肥満細胞腫:腫瘍細胞が出す成分により腫瘍周囲の皮膚が赤く腫れることがある。
〈精神的要因〉
ストレスや不安、恐怖などが皮膚の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
・ストレス性脱毛症:特定のストレスの多い状況下での局部的脱毛
・舐性皮膚炎:繰り返し舐めることで、皮膚が傷ついて赤くなり、毛が抜ける
犬と猫が皮膚の疾患にかかってしまったときのリスクは?
皮膚疾患は、犬と猫にとって様々なリスクをもたらします。
・かゆみによるストレス
激しいかゆみは、犬と猫にとって大きなストレスとなり、攻撃性が増したり、食欲不振になったりする可能性があります。
・二次感染
かゆみによる掻きむしりなどで皮膚に傷ができると、そこから細菌などが侵入し、二次感染を起こす可能性があります。
・慢性的な皮膚問題
治療が遅れると、皮膚の状態は慢性化し、治療がより複雑かつ長期にわたるものになる可能性があります。
診断方法
まずは、問診にてその症状がいつ始まったのか、どのように進行しているのか、過去に同様の問題があったかどうか、そして日常生活の中での変化(引っ越し、食事の変更、ストレス源)がなかったかどうかなどを確認します。その後、皮膚の異常をみつけるため下記の検査を行います。
・皮膚の細胞診・セロハンテープ検査
・毛検査
・皮膚掻爬検査
・ホルモン検査
・真菌培養検査
・薬剤感受性検査
・皮膚生検(病理検査)
治療方法
疾患の原因や症状によって異なりますが、主な治療方法は以下の通りです。
・薬物療法
抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、ステロイド薬などの薬を投与します。
・シャンプー療法
抗菌作用や抗真菌作用のあるシャンプーで皮膚を洗浄します。
・食事療法
食物アレルギーがある場合は、アレルゲンを避けた食事への切り替えが推奨されます。
・生活環境の管理
環境因子によるアレルギーの場合、ペットの周囲の環境を改善し、アレルゲンに触れる機会を減らすことが重要です。
・外科療法
皮膚腫瘍などの場合、外科手術で切除することがあります。
皮膚疾患にかからないための予防法やご家庭で気を付けること
愛犬や愛猫の皮膚を健康に保つためには、日々のケアと注意が欠かせません。
皮膚を定期的に確認し、赤みや腫れ、脱毛、異常な臭いなどの兆候が見られた場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。
また、ノミやマダニなどの寄生虫による皮膚疾患を予防するために、定期的にノミ・ダニ予防薬を使用しましょう。家庭内のハウスダストや花粉などのアレルゲンを減らすことも、アトピー性皮膚炎の症状を軽減するために効果的な方法です。定期的に掃除や空気清浄機を活用して、生活環境を改善することが大切です。
さらに、皮膚を清潔に保つためには、定期的なシャンプーとブラッシングが効果的です。しかし、過度なシャンプーは皮膚の自然な油分を奪い、皮膚炎を悪化させる可能性があるため、愛犬や愛猫の皮膚タイプに適したシャンプーを選び、シャンプーの頻度にも注意しましょう。
まとめ
犬と猫の皮膚疾患は、様々な原因によって引き起こされ、症状も様々です。私たち人間のように異常を言葉で伝えることができない犬や猫にとって皮膚疾患は非常に辛いものです。愛犬・愛猫の皮膚の健康を守るために上記のような予防を日頃から行い、愛犬愛猫の皮膚の健康を守りましょう。また、皮膚に異常を発見した場合は、できるだけ早く獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
栃木県佐野市にある犬、猫専門動物病院
させ犬猫の病院