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犬や猫の膀胱腫瘍のサインに気づくために | 見逃しやすい初期症状から治療までを獣医師が解説

犬や猫の膀胱腫瘍は、早期に発見し適切な治療を行うことが非常に重要です。ただし、この疾患は初期症状が目立たないため、飼い主様が気づきにくいことがよくあります。
膀胱腫瘍は症状を見過ごすと、進行した段階で発見されることが多くなります。

今回は、犬や猫の膀胱腫瘍について、見逃されやすい初期症状から診断方法、治療法を解説いたします。

■目次
1.膀胱腫瘍とは?
2.膀胱腫瘍の初期症状と特徴
3.診断方法と検査
4.治療方法
5.ご家庭で気をつけること
6.まとめ

 

膀胱腫瘍とは?


膀胱腫瘍とは、膀胱の内壁に発生する異常な細胞の塊のことです。

犬の場合、膀胱腫瘍の多くが悪性であり、その中でも移行上皮癌が約80%を占めるとされています。一方、猫では比較的良性腫瘍の割合が高い傾向があります。

発症率は犬の全腫瘍の約2%とされており、特に中年齢以降の犬に多く見られます。また、雌犬での発症率が高いことも特徴のひとつです。

膀胱腫瘍が発生しやすい犬種としては、シェットランドシープドッグ、スコティッシュテリア、ビーグルなどが挙げられます。

 

膀胱腫瘍の初期症状と特徴


膀胱腫瘍の主な症状には、血尿、頻尿、排尿困難などがあります。これらの症状は膀胱炎と似ているため、見逃されやすいのが特徴です。

初期段階では、無症候性の血尿が見られることがあります。これは、尿に血液が混じっているものの、他の症状がない状態を指します。症状が進行すると、頻尿や排尿時の痛み、尿が出にくくなるなどの症状が現れます。

飼い主の皆様が気づきやすいサインとしては、以下のようなものがあります。

尿の色が赤みを帯びている、または茶色っぽくなる
トイレの回数が増えた
トイレの時間が長くなった
排尿時に痛がる様子が見られる
食欲が落ちたり元気がなくなったりする

これらの症状が見られた場合には、できるだけ早く動物病院で診察を受けましょう。

 

診断方法と検査


膀胱腫瘍の診断は、まず問診身体検査から始まります。その後、症状や疑わしい所見に応じて、以下のような検査が行われます。

・尿検査
尿中の血液や異常細胞の有無を調べます。特に無症候性の血尿や異常細胞が検出された場合、膀胱腫瘍の可能性が高まります。

・血液検査
全身の健康状態を確認し、腎機能や炎症の有無を評価します。

・超音波検査
膀胱内に腫瘤があるかどうかを確認するために行います。腫瘍の有無だけでなく、その大きさや形状も把握できます。

・CT検査
腫瘍の詳細な位置や大きさ、さらに周囲への浸潤や転移の有無を調べます。CT検査は腫瘍の進行度を正確に評価することができるため、治療方針を決定する際に非常に重要です。

 

治療方法


膀胱腫瘍の治療方法は、腫瘍の種類や進行度によって異なります。主な治療法には以下のようなものがあります。

<外科手術>
CT検査などで腫瘍の切除が可能と診断された場合には、外科手術を行います。特に早期発見の場合、膀胱部分切除術によって腫瘍の摘出が可能なことがあります。

<化学療法>
抗がん剤を用いて腫瘍の成長を抑制する治療法です。手術後の補助療法として用いられることも多く、進行した症例でも腫瘍の進行を抑え、症状を緩和する効果が期待されます。

<放射線療法>
腫瘍に放射線を照射し、がん細胞を破壊する方法です。手術が難しいケースや、化学療法と併用する場合に選択されることがあります。

<免疫療法>
体の免疫システムを活性化させることで、がん細胞に対抗する力を高めます。他の治療法と組み合わせることで、治療効果を高めることが期待されます。

それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、獣医師と十分に相談しながら、愛犬や愛猫にとって最適な方法を選ぶことが重要です。

 

ご家庭で気をつけること


膀胱腫瘍の予防や早期発見のために、日常生活で以下のポイントに気をつけましょう。

・定期的な健康診断
愛犬や愛猫の健康状態を確認するため、年に1~2回の健康診断を受けることをおすすめします。特に中年齢以上の場合は、腫瘍が発見されやすい時期に差し掛かるため、定期検査が重要です。

・日常的な観察
排尿の様子や尿の色を観察し、赤みがかった尿やトイレの回数の異常に気づけるように心がけましょう。また、排尿時に痛そうにしている様子があれば、早めに動物病院に相談しましょう。

・適切な食事と運動
バランスの取れた食事と適度な運動は、全身の健康を保つうえで欠かせません。体重管理や免疫力向上にもつながり、病気の予防に役立ちます。

・清潔な環境
トイレ環境を清潔に保つことは、膀胱や泌尿器系の健康維持に直結します。清潔で快適なトイレ環境を整えることでストレス軽減にもつながります。

 

まとめ


膀胱腫瘍は早期発見が非常に重要な疾患です。血尿や排尿の異常などの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

また、定期的な健康診断や日常的な観察を欠かさないことが、愛犬や愛猫の健康を守るための大切なポイントです。

膀胱腫瘍に限らず、少しでも気になる症状や変化があれば、迷わず当院にご相談ください。飼い主様とペットが安心して過ごせるよう、丁寧にサポートさせていただきます。

 

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