こんにちは。獣医師の田内です。
前回に引き続き、今回は基礎的な呼吸器(気管、肺)の聴診についてのお話をします
まず初めに、イヌ、ネコの正常な呼吸数は1分間で約10~30回です。
ただしイヌの場合、興奮した際のパンティングにおける激しい呼吸は例外となります。
1分間の呼吸回数が30回を超えてくると、
一般的に呼吸が荒い状態となり酸素と二酸化炭素の交換が上手く出来ていない、いわゆる換気不全がみられます。
呼吸の効率が悪いと、酸素不足となり、舌の色が紫色になるチアノーゼになったりもします。
またネコの場合、正常な呼吸では口を開けることはないので、口を開けている場合はかなり状態が悪いことが考えられます。
次に肺の構造を説明します。
肺は胸部で心臓を囲んでいる臓器であり、イヌ、ネコ共に体の右側が4つの部屋に分かれ、体の左側が3つの部屋に分かれています。
では本題に戻りますが、呼吸器(気管、肺)の聴診を行うことには以下のような目的があります。
・咳
・ゼェゼェといった喘鳴
・腹部を大きく動かして体全体で呼吸を行う努力性呼吸
がある場合に呼吸異常が気管や肺のどの部分で聞こえるのか鑑別を行います。
また呼吸音を聞くことはそれが水分を含む湿性のものか、水分を含まない乾性のものかの鑑別にもなります。
もし湿性の呼吸音が聞こえた場合、肺に水が溜まっている可能性がありますので、緊急な処置が必要な場合があります。
最後に、
聴診では呼吸音が正常か異常かしか鑑別することが出来ません。
なので次にレントゲンやCTといったより詳しく調べる検査が必要となってきます。
以上、呼吸器の聴診に関するお話でした。